2021/02/12 10:55





STORY2
昔と今の死の受け止め方

#グリーフ #グリーフケア  #悲嘆 #悲嘆過程 #昔と今

医療機器の発達が著しくなってきた現代、早期に妊娠の異常に対処できるようになってきました。

同時に母体内の胎児が可視化できるようになったことで、ママは母体内の胎児を「わが子」、「わが子の命」と認識するようになりました。

超音波画像はとても鮮明になり、リアルタイムの動画で胎児を確認することが可能になりました。そのため、胎児をわが子と 認識する意識は一層強くなり、胎児期だけの愛称、おちびちゃん、おまめちゃんなどのような「胎児ネーム」をつけ語り掛け ることも一般化しつつあります。また、妊娠期から育児用品を豊富に準備しておくことも当たり前になってきています。
薬局で手軽に購入できる妊娠薬によって、着床後わずか5日で妊娠判定が可能です。そのため、早期の流産でも「わが子の 死」と認識する傾向になり、流産・死産経験者の悲嘆は、見逃すことができない問題となっているように思えます。


ひと昔前までは、「亡くなった子どもに会わない方がよい」「早く納骨した方がいい」「いつまでも哀しんでいると成仏しな いよ」などともいわれ、少しでも早く哀しみに区切りを付け亡くなったわが子のことを早く忘れることが最善であるとの常識 が広く存在していました。そのため亡くなった子どもについて語ることはタブー視され誰も(親でさえ)語ることはなったの です。※1

成人の場合、葬式を行うことで、親族や知人などと交えて亡くなった人の思い出話などをする。そうすることで悲嘆作業が自 然と行われていました。
しかし、こども、特に赤ちゃん(流産、死産を含む)の場合は葬式はせず、家族のみで供養する方が多くいたため (現代でもお葬式をする方は少ないようです)、母親は亡くした我が子について語れる場がなく個人でその悲嘆を抱えていま した。※2


今でもなお、流産や死産で亡くした子供について語る場や人などに限りがあるようです。しかしネットが普及しネットに書き込みできるようになり自身の気持ちを吐き出せる場ができてきました。亡くした子供の親同士がネットを通じて、自身の体 験を語り、体験者の哀しみに共感し共有するという場が増えてきました。



自助グループ、ネットサービスの存在
流産・死産、胎内死亡など小さな赤ちゃん、子供を亡くされた当事者同士が集まり、それぞれの悲しみに向き合い、支え合う活動を行っている団体(自助グループやサポートグループ)が全国各地にあります。
一人で悩みこまず、落ち着く場がきっとあると思います。
あくまでも紹介です。




【参考文献】
※1 ※2 坂口幸弘、死別の哀しみに向き合う グリーフケアとは何か、講談社現代新書