2021/02/12 10:31




STORY1

「救うことのできない小さないのち」


#流産 #死産 #天使ママ #人口動態統計 #ペリネイタル#ペリネイタルロス


  妊婦の10人に1人が流産を経験している

実は、流産(22週以前の妊娠終了)は全妊婦の約15%、つまり妊婦の10人に1人 という割合で流産は起きています。

また、「平成30年(2018年)の人口動態統計の概況-厚生労働省-」※1によると 平成30年の死産数は1万9614胎。死産率にすると20.9約になります。安定期と言 われる時期においてもおよそ50人に1人の割合いで死産は起きていることになり ます。

医療が進む現代においても救うことのできない小さないのちがあり、その悲しい 現実が存在することは避けられないのは事実です。

※1 平成 30 年(2018)人口動態統計(確定数)の概況


https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/index.html


流産、死産の原因は様々

流産の原因は多岐にわたります。

しかし、一般に、初期の散発性流産(感染を原因とせず、妊娠の不特定時に発生する流産の総称)、特に超音波診断で胎児心拍 が確認される前の流産は「胎児側の要因」であることがほとんどのようです。 すなわち、妊娠した時点で流産になるという定めが決まっていて、子どもは与 えられた命を全うするのです※2。

一方、妊娠22週以降の死産の原因は、常位胎盤早期剥離、胎児の形態異常(致 死的疾患)が多くなります。しかし死産の4分の1は原因不明です。

どれだけ医療が進んでも、死産となるケースを予知・予測すること、予防する ことには限界があり予期せぬ死産がなくなることはないのです※2

※2 NPO法人SIDS家族の会「流産・死産」 竹内正人

http://www.sids.gr.jp/stillbirth.html

 



~ママ、さようなら。ありがとう~


 最近では、TwitterやInstagramで、「天使ママ」というネーミングで流産・死産・新生児死されたママのアカ ウントが増えつつあります。

自身が死産を経験し、それからSNSで「#流産、#死産、#新生児死亡、#天使ママ」などと検索をするととても多くのアカウントがあります


天使ママになってすぐに、ある天使ママの投稿を見て一冊の本と出合うことができました。

それは「ママ、さようなら。ありがとう」という池川明先生(産科医)が書いた胎内記憶にまつわる本でした。


・「赤ちゃんがこの世にやってくるにはふたつの理由がある...」

ひとつは、人の役に立つため。特に最初はお母さんの役に立つため。ふたつ目は、自分の人生のミッション (宿命)を果たすため...※4


・「赤ちゃんは命をかけてメッセージを伝えに来る」

赤ちゃんはどんな理由で雲の上に帰るとしても、自分だけのために帰っていくことは決してありません。意味 のない命は一つもなく、赤ちゃんは残されたる人に大きなプレゼントを置いてってくれます...※4


この本を読み終わって、赤ちゃんがなぜお空へいってしまったのか?流産・死産した赤ちゃんからのメッセージを受け取ったお母さんの体験談を交えて、自身が言葉にできなかった想いを代弁してくれます。

心を整理するための助けに なってくれました。文章に添えられたあたたかい挿絵にも心が癒されました。


本はネットだけでは伝えきれないことを伝えてくれる存在として心を癒し、支えに欠かせないものなのかもしれません。




    【ママ、さようなら。ありがとう】 

著者:池川明(池川クリニック院長)

読みやすさ:★★★★★

心の癒し:★★★★★

泣ける:★★★★★

かわいいイラスト:★★★★☆




 【引用・参考文献】

※1 平成 30 年(2018)人口動態統計(確定数)の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei18/dl/00_all.pdf

※2 NPO法人SIDS家族の会「流産・死産」 竹内正人

http://www.sids.gr.jp/stillbirth.html

※3 坂口幸弘 死別の哀しみに向き合う:講談社現代新書、2012

※4 池川明 ママ、さようなら。ありがとう:リヨン社、2008、p18,p28-29